【醸造】亜硫酸とは?

醸造

こんにちは!
2月、仕事先のワイナリーではワイン関連の仕事はある程度落ち着いています。

この時期、リリースが早いワインは、ブレンド、ろ過、酒石落とし、瓶詰と最終工程を行っていますが、ほとんどのワインは樽やタンクで熟成中であり、主にバトナージュや補酒、亜硫酸の管理を行っています。
こちらの記事では、ワイン造りにおいてよく話題になる”亜硫酸”について書きたいと思います。

亜硫酸の効果

亜硫酸(H2SO3)は、二酸化硫黄(SO2)を水(H2O)に溶かした場合に得られる物質らしいですが(化学のことはよくわかりません…)、ワイン醸造においては添加や管理のしやすさから、粉末状に加工されたピロ亜硫酸カリウムというものを使用しています。
ピロ亜硫酸カリウムを使用する以外にも、亜硫酸ガスや亜硫酸水を調整して添加する方法もあるようですが、濃度の調整など取り扱いが大変のようです。

亜硫酸には様々な効果があります。
 ・バクテリアによる汚染防止
 ・ブドウに含まれる酸化酵素(ポリフェノールオキシダーゼ)の
  抑制
 ・アセトアルデヒドなどとの結合による酸化防止
 ・ブドウの色素、ポリフェノールの抽出促進 など…

ワイン造りにおいては、とても便利な物質です。

亜硫酸を添加せずに圧搾するとすぐに
茶褐色に

亜硫酸の種類

亜硫酸は、以下の2つの状態でワイン中に存在しています。
 1. 結合型亜硫酸:アセトアルデヒド等と結合した状態、ほとんど効果はない
 2. 遊離型亜硫酸:まだ結合していない状態、亜硫酸の効果を発揮

2つ目の遊離型亜硫酸こそが汚染や酸化を防止しますので、醸造中は遊離型亜硫酸の量で会話をしています。「フリー(遊離)で○○ppmです」といった感じです。

亜硫酸添加のタイミング

ワイナリーによって異なりますが、亜硫酸は3つのタイミングで添加することが多いかと思います。
 ①仕込み時(除梗破砕や圧搾)
 ②アルコール発酵終了時またはマロラクティック発酵終了時
 ③熟成中

タイミング①ですが、白ワインにおいては、考え方によって圧搾前または圧搾後に添加します。通常は圧搾後の添加ですが、圧搾前に添加することでより酸化を防止できます。ただし、圧搾前に添加すると、不必要にフェノール類が抽出されてしまい、色味が黄色くなってしまったりします。

タイミング②ですが、酵母菌や乳酸菌の活動が終わったタイミングでは、雑菌が動きやすいため添加します。

タイミング③では、亜硫酸はアセトアルデヒド等と結合して、次第に効き目が落ちてきます。そこで、定期的(1か月に1回等)に残っている亜硫酸とpHの測定を行い、必要量を添加します。
この亜硫酸測定には時間がかかり、1回30分、100樽も管理するとなると何日もかかってしまいます…

亜硫酸の使用を減らすには

亜硫酸は便利な物質ではあるけれども、食べ物である以上、添加量を少なくできればそれに越したことはありません。以下の方法をとることで亜硫酸の使用量を減らすことができるようです。

・ブドウが健全で過熟でない
・ブドウの冷却や低温での処理を行う
・果汁やワインの移動時、貯蔵中はなるべく空気に触れないよう
 にする(炭酸ガスの使用、満量保管等)

私の研修先では、多くのワイナリーと同様に基本的に亜硫酸を使用しています。ワイン造りを始めるまでよくわかっていなかったのですが、亜硫酸をごく少量しか使用せずに行うワイン造り(自然派ワイン)が、いかに注意力を要するものであるか、ワイン造りを始めてみてわかりました。

やはりブドウが健全であることが大切


私はワインを造り始めたばかりで、亜硫酸の使用についてもまだこだわりはありませんが、やはり食品である以上、添加物は少ない方がいいと考えています。
とりあえず入れる、型通り入れる、ではなく、適切な使用要否の判断、使用量、添加のタイミングを見極められるようになりたいです。

次回は冬の主な作業である、剪定またはバトナージュや補酒について、まとめてみたいと思います。

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