【ワイン】スイスの醸造家がやってきた

醸造

こんにちは。
関東甲信は過去最速で梅雨明けしましたが、その後、降雨が多くベト病が発生、今年も前途多難なヴィンテージとなりそうです。

先日、ご縁があって、スイスのヴィニグマというワイナリーの醸造家ヴァレンティンさんが私の畑を訪問してくださいました。
今回はその時の様子を書きたいと思います。
写真を撮り忘れ、文字ばかりで申し訳ありません。

ヴィニグマワイナリーとは?

スイスのバーゼルという都市にある都市型ワイナリーだそうです。
購入ブドウをメインにワイン造りをしていますが、郊外に0.5haほどの自社畑も持っており、ガマレ(ガメイ×ライヘンシュタイナー)というスイスの固有品種を栽培しているとのことでした。

醸造家であるヴァレンティンさんは、数多くのワイン醸造の経験を経て、バーゼルで消費者に気軽に訪問してもらいたいという想いから都市型ワイナリーという形態を選択したとのことです。
また、自身で畑に立ちブドウの手入れもされている傍ら、南半球にも提携ワイナリーがあり、数週間前には南半球でワインの仕込みをしていたとのことです。

一緒に軽トラで移動しながら、畑を見てもらう

飯綱町役場でヴァレンティンさんと合流し、名刺交換。
「君のトラックに乗っていい?」と軽トラに相乗り。体格が良い外国人が乗ると一層狭く感じます。軽トラの中はハサミなどが散乱、「そのままでいいよ、僕の車も同じだから」とヴァレンティンさん。日ごろブドウ畑に立っているのかなと想像…

樹齢2年目のピノノワールの畑を見てもらいました。
まず初めに、「樹勢が強いね!スイスでは2~3年ほとんど成長しないよ。」とのこと。
そうなんです。その畑は何年か前はアスパラガスが栽培されており、肥料分が多い畑です。枝の太さも非常に太く、副梢もかなり伸びています。

そのほかにも、ヴァレンティンさんは2週間に一度草刈りをするそうですが、列の間は一部、あえて草を残すことで生物多様性の確保に努めているそう。

また、剪定技術についても教えてもらいました。ヨーロッパでは当たり前だと思っていたギヨ剪定をよしとしないヴァレンティンさん、「複雑な剪定方法」だと。ヴァレンティンさんの剪定の仕方は、クルソン(以前の剪定の記事をご参照ください…)を一つも設けず、毎年幹近くから出る新梢をバゲットにするそうです。樹高をどう抑えているのか疑問でしたが、確かにシンプルな剪定方法ではあります。

夕食会でのやり取り

翌日、ヴィニグマのワインの夕食会に参加しました。
ヴァレンティンさんとアシスタントの芳賀さんからワインにまつわるお話を聞きながらの夕食会です。
いただいたワインは以下の三種類。
 ①白ワイン-アプリオーリ21‘ (ユマーニュ・ブラン50%、プティット・アルヴィン50%)
 ②ロゼワイン-ピンク・フルイド21’ (ピノノワール100%)
 ③赤ワイン-アスペルモン18’ (ピノノワール100%)

①白ワイン
②ロゼワイン
③赤ワイン

どのワインも造り手の個性が光るワインでした。

特に②については、ワインにまつわるストーリーが面白い。
ヴァレンティンさんが小さかったころ、おじいさんに地下セラーからワインを取りに行ってくるよう頼まれていたそうです。このワインは、おじいさんが飲んでいたワインのブドウ生産者からブドウを購入して造ったもので、そのおじいさんはよく「ピンク・フロイド(Pink Floyd)」というロックバンドを聞いていたそうです。そこで、このワインの名を「ピンク・フルイド(Pink Fluyd)」、「ピンクの液体」に。
こういうストーリーがあるワインは、造り手の背景や想いが伝わってきます。味わい以上に感じるものがあります。

最後に、ヴァレンティンさんが私にアドバイスをくれました。
「ワイン造りにおいては、あなたが信じることを貫きなさい。あなたのワインを好きになってくれるお客様を見つければいいのですから。」

どんなワインを造りたいか、ワイン造りの哲学が固まっていない私にとってとてもいい言葉でした。私の場合、ワイナリー設立は5年ほど先で、昨今の日本ワインブームにおいては後発組です。多くの日本ワインが市場にあふれる中で手に取っていただけるためには、「個性」が大事だと。
そんなの当たり前でしょと思いますが、プロダクトを前にしてその造り手から直接言われると実感として違います。

今回はとても貴重な経験となりました。
ご縁に感謝するとともに、得たものを大切にワイン造りに励んでいきたいと思います。

次回の記事では、畑作業について書きたいと思います。
引き続き、よろしくお願いいたします。

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